甲状腺ホルモン過剰:バセドウ病とその3大徴候

バセドウ病: 疲労と倦怠感の不明な原因

自己免疫疾患としてのバセドウ病

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。自己免疫反応が誤って甲状腺を攻撃し、甲状腺ホルモンの過剰な分泌を引き起こします。この状態は体の新陳代謝を過度に活性化させ、疲労や倦怠感を引き起こします。

免疫機能の異常: TSHレセプター抗体

自己免疫疾患においては、正常には体内に侵入した異物(抗原)を攻撃するはずの免疫機能が、甲状腺に対する**自己抗体(TSHレセプター抗体)**を作成します。この抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるのです。

性別とバセドウ病

この疾患は女性に比較的多く、女性の発症率は男性の4〜5倍とされています。しかし、男性も疲労と倦怠感の原因としてこの疾患を考慮する必要があります。

早期発見と重症化リスク

20〜30代の女性は妊娠適齢期でもあるため、診療を受ける機会が多く、早期発見が可能です。一方で、男性は発症に気づくのが遅れ、重症化するケースも少なくありません。

3大徴候と診断

バセドウ病の「3大徴候」は、甲状腺の腫れ、眼球の突出、頻脈です。これらは、疾患の診断に重要なポイントとされています。

甲状腺の腫れ

触診によって確認することができます。見た目だけでは判断が難しい場合もあります。

眼球の突出

発症した人の約3割に見られ、特に喫煙者に多い症状です。

頻脈

通常の脈拍数は60〜90回/分ですが、バセドウ病では100回以上/分になります。

年代正常な脈拍数(回数/1分間)
新生児・乳児110~140
小学生・子供70~110
中高生50~100
一般成人50~90

頻脈や不整脈は他の健康な人でも起こり得るため、疑問があれば医師の診断を受けることを推奨します。

まとめ

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患であり、疲労や倦怠感を引き起こします。特に女性に多い疾患ですが、男性も注意が必要です。疾患の「3大徴候」である甲状腺の腫れ、眼球の突出、頻脈を理解し、早期発見・診断を目指しましょう。