過敏性腸症候群(IBS)の解剖
過敏性腸症候群(IBS)の一般的な症状
過敏性腸症候群(IBS: Irritable Bowel Syndrome)は、大腸の動きや分泌に異常が生じ、その結果、下痢、便秘、ガスの蓄積による膨満感や腹痛が現れる病状です。特にストレスが主な引き金とされており、症状が放置されることで悪化する傾向にあります。
診断の困難性
この病状は、大腸がんや大腸炎など、他の大腸の疾患とは異なり、血液検査や内視鏡検査で異常が確認できない場合が多いです。そのため、病状が長く続いても、多くのケースで診断が確定しないまま放置され、症状が次第に悪化していく可能性があります。
人口に占める割合と性別・年齢差
日本では、約7人に1人がIBSの症状に当てはまるとされています。特に20代から30代の若い世代に多く、性別による違いも指摘されています。具体的には、男性は下痢型が、女性は便秘型と混合型が多いと報告されています。
年齢層 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20~30代 | 下痢型 | 便秘型・混合型 |
症状の分類
IBSの症状は主に下記の3つに分類されます。
- 下痢型
- 便秘型
- 下痢と便秘が交互に現れる混合型
過敏性腸症候群の影響と危険性
日常生活への影響
過敏性腸症候群は、生活の質(QOL: Quality of Life)に大きな影響を及ぼします。例えば、長時間、トイレのない場所にいられない、重要な場面で集中できない、旅行に行けないなど、日常生活の多くの局面で制限を受けることが多いです。
QOLと精神的健康
さらに、QOLの低下が精神的なストレスを増加させ、それが症状を悪化させる可能性があります。実際、IBS患者のQOLスコアは、高血圧や糖尿病患者よりも低く、末期腎不全患者とほぼ同等であると報告されています。
精神的な健康への影響
症状が進行すると、緊張や不安、さらにはうつ病に発展する可能性もあります。
過敏性腸症候群(IBS)は、一般的には下痢、便秘、膨満感などの症状を引き起こしますが、診断が難しく、症状が放置されると日常生活やQOLに大きな影響を及ぼします。特に、精神的な健康も影響を受け、症状の悪化と共に生活の質が低下する危険性があります。