円形脱毛症とは
円形脱毛症は、頭髪の一部や複数の箇所で類円形に脱毛する疾患です。10円玉の大きさの脱毛が一般的とされますが、頭部全体やまゆ毛、まつ毛、体毛への脱毛のケースも報告されています。一部の症例ではストレスが引き金となり、また、アトピー性皮膚炎や膠原病、甲状腺疾患などの合併が見られることもあります。この病気は自己免疫の異常が原因で、リンパ球が毛包を攻撃し脱毛が発生します。再発する可能性もあります。
脱毛の原因
さまざまな要因が円形脱毛症の原因として考えられています。
自己免疫疾患
体の免疫システムが異常を起こし、自身の組織を攻撃する現象。Tリンパ球が毛包を攻撃し、脱毛が発生します。
アトピー性疾患
多くの円形脱毛症患者がアトピーの素因を持っているため、関連が疑われています。
精神的ストレス
過度のストレスが交感神経の異常を引き起こし、頭皮の血流が低下することが原因の一つとされています。
女性ホルモンの変動
出産後の女性ホルモンの急激な変動は、脱毛の一因とされています。
遺伝
家族歴などから、遺伝的要因も考慮されています。
症状と診断
症状
脱毛部位は頭部だけでなく、全身の毛髪部分に及ぶことがあります。脱毛前に痒みや発赤が見られる場合もあり、脱毛部位には感嘆符毛や黒点が現れることが診断の手がかりとなります。
検査方法
視診や触診での確認、毛髪の抜けやすさを検査する「抜毛テスト」や皮膚生検などで診断が行われます。
治療方法
現在、円形脱毛症を完全に治癒させる治療法は存在しませんが、以下の方法が取られます。
ステロイド局所注射
脱毛部位にステロイドを注入して炎症や免疫機能を抑制します。
局所免疫療法
脱毛部位にかぶれを起こす薬剤を塗布し、発毛を促進します。
内服薬治療
ステロイドや抗ヒスタミン薬、セファランチンなどの薬剤を内服します。
外用薬治療
ミノキシジルや塩酸タクロリムス軟膏などを使用します。
予防方法
円形脱毛症の予防に特効薬はありませんが、ストレスの軽減や適度な運動、十分な休息、バランスの良い食事などが勧められています。
円形脱毛症は自己免疫の異常が原因で発症する疾患です。脱毛の原因には自己免疫疾患、アトピー性疾患、精神的ストレス、女性ホルモンの変動などが考えられています。治療法は完全な治癒を保証するものではありませんが、複数の方法が試みられています。